2014年6月28日土曜日

ありがとうライアン

きみの目は茶色いね

きみとおなじ犬種の

私のむかしの最大の愛犬は

とっても黒くて丸い目をしてた

きみの毛はふさふさしてるね

白と黒の毛がはっきりしてて

鼻の高さも大きさも耳の垂れ具合も

性格も年齢もぜんぜんちがうけど

抱きしめたらあのことおんなじ匂いがして

懐かしくて懐かしくてなみだがでたよ

毎日ね、この匂いが庭の季節の匂いと混じって

春夏秋冬過ごしたんだよ

傍らにはいつもいてくれたんだよ

1日中あの庭の丸いテーブルに座って

流れる季節を眺めてたんだよ


犬なのに小さい弟みたいで
私のことばっかり追ってた

言葉はわからなくても
話しかけると必ず返してくれたよ

ちょうどこの6月の

夏前にやってきた成犬のきみは

賢くて頭が良くて飲み込みが早くて

でもみんなを好きで
みんなに好かれて
この家のみんなのアイドルで癒しだったよ

いちばん長くそばにいることが多かった私だから

きみの気持ちはね、たとえ動物と人だとしても
すぐにわかったんだよ きみはとても賢いけど

甘えん坊で寂しがりで、でも心配性で神経質で
マイペースであんまり他のことには興味がなかった

よく飼い犬は飼い主に似るというけど

きみは私よりもっと素直で実直だった

そして誰より私を理解してた

私が悲しいと、いつもあの黒い目が
心配そうな目をしていたよ

私が怒ると、ちゃんとごめんなさいと
バツの悪そうな顔をしていたよ

私が楽しいと、一緒に笑ってくれたよ
私が嬉しいと、一緒に喜んでくれたよ

覚えてる?あの雪の積もった2月

庭でふたりで雪遊びをした

雪合戦をしながら追いかけっこをして

雪だるまを作ったら頭だけ食べられててて

まる半日遊んでたら

私は風邪を引いてしまったし
きみは走りすぎて足をくじいた

もう高齢なのに遊ばせすぎたらあかん!って
怒られたよ ごめんね、でも楽しかったね

友達よりもきょうだいよりも家族よりも
ある線を越えて私ときみはつながってた

だから別れるときにはもう お互いわかってたんだよ

絶対そんなことしないのに
ゲージを飛び出して私を探しに出たり

日に日に弱ってくきみに私の匂いがついた服をあげた

最後に会ったときはもう見てられないくらい

足がおぼつかなくて 目もどちらを向いてもなくて
毛も抜けて 痩せて ところどころに傷があって
見るのがつらかったけど本当につらかったけど

私を見た瞬間 歩けなかったのに、よろよろ
しっぽ振りながら寄ってきてくれた

嬉しいって言ってた 会いたかったって言ってた

私は泣きながらきみを抱きしめてごめんね、
ごめんねを繰り返して、ずっと抱きしめて

変わらないきみの匂いが胸を締め付けて
悲しくてつらくて でもきみはずっと嬉しいって
言ってた 会いたかったって 会いたかったって



ごめんねライアン


きみが息を引き取ったって聞いた時

私は逃げるように東北へ向かったんだ

道中声をあげて泣いて泣いて泣いて泣いてでも

泣き足りなくて泣き足りなくて 泣き続けてずっと

でもやらなければならないことがあったから

引き返すことも 最後をみることもできなかった


ごめんねライアン


きみの写真はいまだ手帳とリビングにあるよ
きみが天国で幸せに過ごしてくれてることを願うよ

大好きだったよ
今でも大好きだよ

きみと過ごした思い出は宝物みたいにずっと

私の胸にしまってある

たまに思い出して切なくて泣くこともあるけど

きみは私の大切な大切な愛犬でともだちで家族だったよ


ありがとうライアン

きみは今そこで幸せかい?

2014.6.28

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