2014年6月19日木曜日

taigan to kodoku

あの対岸に星を何度も見に行った

隣で涙を流す君に少し驚いて

私もいっしょに涙を流した

あれが君という人物に初めて触れた瞬間だった


何かあるわけではないのに
あの対岸でいつも過ごした

ケンカしたり話し合ったり黙りこくって空を見上げたり
昼寝したりちょっとお酒飲んだり水に足をつけてみたり

知らない間に寝ちゃったり
そのままふたりで朝を迎えたり

手をつないで渡る岸に
拾った白い流木と

後ろから抱きしめられる温度に
他愛もない会話と沈黙と

横顔に
笑顔に
寝顔に

涙に

肌と肌に
お互いの体温に


四つの季節をあそこで過ごした

君はいつも体温が高くて
私はいつも体温が低くて

そのたび思ったんだ
「男の人の熱は、女の人を安心させるためにあって、
 女の人の冷たさは、男の人の頑張りを冷ますため」

君は本当に熱かった
たとえ冷静にいても
静寂に身を置いても
身体と心が離れても

抱き合う瞬間、その熱に私はいつもおかしくなりそうで
君の背中に爪痕をたくさん残した そしていつも涙した

切なくて、切なくて、切なくて

君が私にぶつける愛情が
孤独を伴って伝わってきて
身体はこんなに熱いのに
その差が哀しくて愛しくて

私は何度も言ったんだ

「離れやんで」
「そばにいて」
「放さんといて」
「私ここにおるから」
「私そばにおるから」

泣きながら繰り返し 繰り返し 繰り返し
泣かんといてって涙をふいてくれる指さえもが

愛を分かち合う時間なのに
君の背負う孤独を直に感じて

切なかった 私を抱いていても
君の孤独は癒されてなかった

だからいつも思い知らされた 

思い知らされたんだ

この人は孤独と共に生きて むしろ孤独が染み込んでて


私には解せないものなんだって


今もそれ その独特の孤独を背負う君に
私は何もできないけど せめて 安らかな

眠りを与えてください

いるのなら、神様

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