あの対岸に星を何度も見に行った
隣で涙を流す君に少し驚いて
私もいっしょに涙を流した
あれが君という人物に初めて触れた瞬間だった
何かあるわけではないのに
あの対岸でいつも過ごした
ケンカしたり話し合ったり黙りこくって空を見上げたり
昼寝したりちょっとお酒飲んだり水に足をつけてみたり
知らない間に寝ちゃったり
そのままふたりで朝を迎えたり
手をつないで渡る岸に
拾った白い流木と
後ろから抱きしめられる温度に
他愛もない会話と沈黙と
横顔に
笑顔に
寝顔に
涙に
肌と肌に
お互いの体温に
四つの季節をあそこで過ごした
君はいつも体温が高くて
私はいつも体温が低くて
そのたび思ったんだ
「男の人の熱は、女の人を安心させるためにあって、
女の人の冷たさは、男の人の頑張りを冷ますため」
君は本当に熱かった
たとえ冷静にいても
静寂に身を置いても
身体と心が離れても
抱き合う瞬間、その熱に私はいつもおかしくなりそうで
君の背中に爪痕をたくさん残した そしていつも涙した
切なくて、切なくて、切なくて
君が私にぶつける愛情が
孤独を伴って伝わってきて
身体はこんなに熱いのに
その差が哀しくて愛しくて
私は何度も言ったんだ
「離れやんで」
「そばにいて」
「放さんといて」
「私ここにおるから」
「私そばにおるから」
泣きながら繰り返し 繰り返し 繰り返し
泣かんといてって涙をふいてくれる指さえもが
愛を分かち合う時間なのに
君の背負う孤独を直に感じて
切なかった 私を抱いていても
君の孤独は癒されてなかった
だからいつも思い知らされた
思い知らされたんだ
この人は孤独と共に生きて むしろ孤独が染み込んでて
私には解せないものなんだって
今もそれ その独特の孤独を背負う君に
私は何もできないけど せめて 安らかな
眠りを与えてください
いるのなら、神様
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